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明けましておめでとうございます。年頭にあたり、新年のご挨拶を申し上げます。
2022年を振り返ってみますと、ロシアのウクライナ侵攻や安倍晋三元総理の銃撃事件、経済においては歴史的な円安と物価の高騰など、ショッキングな、ニュースが相次いだ1年となりました。今年はまだ続く、ロシアのウクライナ侵攻や、世界的インフレなどの情勢のなか国をどう動かしていくのか、岸田総理のお言葉どおり「歴史の分岐点を迎えている」と思います。人口減少や少子高齢化、社会保障費の拡大、財政赤字、人手不足、エネルギー問題、医療DXなど加速するデジタル化への対応など山積する課題にどう向き合うか重要な年になると認識しています。
さて、我々が、新型コロナウイルス感染症と向き合い始めて、丸三年の月日が経ちました。現在第8波に突入し、1月6日には全県で過去最多の5,097人の感染者が発表されました。行動制限を要請しない方針の下、今後もこの数字は増えてくるでしょう。またインフルエンザも、全国の定点医療機関当たりの平均患者数が1を超え、3年ぶりに全国的な流行期に入りました。同時流行に対して気を引き締めての対応が必要です。また医療介護施設のクラスターは昨年一年間、萩医療圏内だけでものべ33施設にのぼりましたが、関係者の皆様の大変なご努力により鎮静化しております。感染の終息が見えない上ではクラスターとの戦いは続きます。診療検査医療機関の拡充、自宅療養支援、受入れ入院医療の整備も含め、引き続きコロナ対策の充実は医師会の最重要課題です。昨年10月には、都志見病院と萩健康福祉センターのご指導の下、萩地域・感染対策・連携カンファレンス及び、感染症・対策訓練を開催しました。翌月には、萩圏域地域包括ケアネットワーク協議会、多職種連携研修会を開催し、山口県立総合医療センターへき地医療支援センターの原田昌範先生をお招きし、萩健康福祉センターの全面協力の下、医療・介護関係者約140人のご参加を頂き、コロナ対策における講演会と、第2弾は70人規模でのグループワークを開催し、「第7波で困ったこと」圏域で「助け合ったらできそうなこと」と言うテーマで問題点を議論しました。コロナ禍でありつつも多くの参加を頂き、会議が開催出来たことは大変有意義でありました。現在、得られた課題を整理し具体的方策を構築する為の審議を継続しております。本年も昨年同様、県コロナ室、健康福祉センターとの連携、また、萩市阿武町と協働で開催している萩市圏域地域包括ネットワーク協議会を中心に、萩阿武全体がワンチームとなり講演会、意見交換会など開催し対策を拡充して参りたいと思います。
また、中核病院の形成についての議論も避けて通れない重要課題です。この一年間、萩市医師会は中核病院の議論に対して静観して参りました。しかしながら萩医療圏では、専門職の減少が急速に進んでおり医療圏を守っていくためには早急な対策、処方箋が必要となってきております。市外への流出、准看の入学者激減など深刻な問題を抱えています。原因は若者の人口減だけではなく、現在の萩圏域の不安定な医療情勢が関連しています。つまり、中核病院の議論が、長期間にわたって棚上げになっている現在、この地域の中心を支える医療体制の整備が不安定になっていることが、医療従事者の間では大きな不安要素になっており、新たに医療職に就こうと希望される方の減少、或いは、現職で活躍しておられる医療従事者が他圏域に流出されるケースに繋がっています。この事は、今や2病院の問題だけではなく、地域全体の大きな問題になっているように感じます。医師のみならず、看護師、その他医療職が減少すると、医療の質を高めることはできなくなり、命に直結する救急体制の逼迫、診療科の減少による専門的医療の提供体制不足に陥るなど地域医療に大きな支障を来す結果に繋がります。一度、瓦解したものを再構築するには大変なエネルギーを要します。そのため早急に急性期医療体制整備に対して、明確な方向性が示され、地域医療の未来に向かって明るい兆しが見えてくることを切に願っています。この萩圏域で地域住民が安心して医療を受けられる医療体制なくして、地域の存続はありえませんし、人口減少に歯止めをかけ、定住に結びつけるといった地方創生もありえません。
医療従事者すべてにとって、また住民の皆様にとって魅力ある医療圏を作っていく事が我々医師会の役目だと思っております。行政及び関係機関と一致団結できるよう積極的に働きかけて参りたいと思います。皆様のご協力をどうかよろしくお願い致します。
最後になりましたが、今年一年、会員の先生方お一人お一人にとって充実した幸多き年となりますことを祈念申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
令和3年1月7日